▼紹介する人

 

 なべけん（フロアキャスト）

 

▼紹介する本

 

『こころ』（夏目漱石/新潮文庫）

 

▼紹介コメント

 彼はあの人のことを先生と呼んでいた。あの人は夏のある日、鎌倉で彼に会った。私は学問のことはわからないが、彼もあの人と同じく東大生であった。彼はしきりに私たちの家を訪ねてきた。人を毛嫌いしているあの人が、彼には何か期待しているようだった。彼ならあの人を救えるかもしれない。私は縋る（すがる）ような思いだった。ところが、あの人は自殺してしまった。明治が終わった時だった。親友の自殺から十数年。徐々に変わってしまったあの人。酒におぼれ、書物におぼれ、社会を、人を嫌っていたあの人。親友が自殺しなければ、あの人は変わらなかった。彼が現れなければあの人は狂わなかった。私にはあの人しかいなかったのに—。

 

好きな人を失った女の「こころ」を読んでください。

 

 

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＊b-labスタッフやb-labを利用する中高生がおススメする本を集め、「b-labの50冊」としてこのブログなどで紹介していきます。そこで、あなたも自分の好きな本について紹介してみませんか？興味ある方はスタッフまで！ぜひご協力をお願いします^ ^

 

（文責：とも）