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ビーラボブログ

November

05

Tuesday
PM 8:46

【スタッフ体験談】vol.2 逃げ出したあの日

b-labスタッフにも、悩める青春があった。

ということで、不定期にスタッフの体験記をアップしています。

 

前回に引き続き、テーマは家出!

ふーちゃんの体験を紹介します。

 

 

【新潟へ逃避行】

 

高校2年の秋

吹奏楽部の部長になってまもなく、ふーちゃんは追い込まれた

 

 

 

部活は週7ハードペース

 

 

顧問に今日の練習メニューを見せてOKをもらうため、

ふーちゃんは毎日昼休みに、お弁当3分食べた

 

 

「いま、みんなの練習の進み具合がこれぐらいで、

コンクール本番まであと○日だから……」

 

 

副部長、学指揮、副学指揮と相談して決めたメニューをノートに書き出し、

顧問の先生に見せにいく。

 

 

すぐに「OK」と言われる時もあれば、

「全然考えてないね」と、突き返されることもある。

 

「どうしよう。何がダメなんだろう……」

 

考えて考えて、顧問の顔色をうかがう日々

 

 

1つ上の先輩たちは、全国大会に出るほど優秀だった。

その功績を継がなくては……と思うが、

先輩たちが引退した後、

顧問の厳しさについていけない部員が辞めだした

部内がガタガタになり、まとまらない。

 

 

部をまとめなきゃ!

 

ふーちゃんは責任を果たそうと、奮闘した。

 

しかし、会計などほかの役職でトラブルが連発。

部員同士がもめ、部内は殺伐とした空気になった。

 

そのうえ、顧問からは

「このトラブルに対して、部長が対処できないのはどういうこと?」

怒られる

 

もう、へとへとだった。

 

 

そんな緊張から解放されたのは、4日間テスト期間

テストのストレスよりも、部活がないことにほっとした。

 

だが、4日目のテストを終えた放課後からまた部活がはじまる……。

 

 

とっさに、ふーちゃんは思った。

 

逃げるしかない!!

 

 

ふーちゃんは3日目のテストを終えて帰宅すると、

ケータイ電話の電源を切り、私服に着替えた。

リュックに最低限の荷物を入れ、お金を持って家を出る。

 

 

行き先は、おばさんが住んでいる新潟

新幹線に乗ると、

物理的に学校から離れたことに、気持ちが少し軽くなった。

 

もう戻らない!

 

強い決意を抱いて、新潟に到着。

 

そこでケータイの電源を入れると、

妹とお母さんから何度も留守電が入っていた。

 

「家にいないけど、どこにいるの?」

「なにかあったの?」

 

 

ふたりが心配していることに気づき、ふーちゃんはお母さんに電話をかけた。

 

「いま、新潟にいる」

 

ふーちゃんの言葉を聞くなり、お母さんは新幹線で追いかけてきた。

 

 

夜遅く、ふーちゃんはお母さんと再会。

お母さんが乗ってきた新幹線は最終だったため、

ふーちゃんたちは、新潟のおばさんの家に泊まった。

 

 

その晩、ふーちゃんは夜通し、お母さんと話した

 

部活がつらいこと。

明日は、部活を休むか、休まないか……。

 

 

そこで、ふーちゃんが出した結論は、「休めない」だった。

 

ここで逃げたら、部活を辞めた子たちと同じになる。

つらくてもがんばっている部員を裏切るわけにはいかない。

逃げても、学校を退学するわけじゃないから、

部員と会わなくなるわけじゃない。

 

勢いで逃げだしたが、このまま逃げ続けるのは無理、と思った。

 

 

 

翌日、ふーちゃんはお母さんと一緒に家に戻り、

テストは休んだが、部活には出た。

そして、ふーちゃんの家出は、

引退後に打ち明けるまで部員のだれも知らないこととなった。

 

 

数年後、顧問の先生が言った。

 

「部長を一年間やりきったのは、

後にも先にも齊藤(ふーちゃん)だけだ」

 

顧問の先生は、うまくいかないと、

すぐに「総選挙だ」と言って部長を替えていた。

先生が知る5、6年間で、

ふーちゃんが唯一、一年間部長を務めたという。

 

 

あの時、逃げ続けなくてよかった。部活をやりきってよかった!

 

 

顧問の先生の言葉は、いまもふーちゃんの誇りとなっている。

 

  •  
  • — — —

 

振り返って、ふーちゃんは言う。

 

「あの時は運良く、危ない目に合わないですんだけど、

女の子がひとりで夜を明かすのは、危険

 

でもあの日、お母さんと話せたのは良かった。

ガス抜きができたからこそ、

一年間、部長を続けることができたのだと思う。

 

逃げたくなるほどつらくなったら、

家出をするより、だれかに話したほうがいいと思う」

 

 

 

これを読んだみなさん、

つらい時は家出をするより、だれかに話してみては?

b-labのスタッフは、みなさんの相談にのりますよ。

 

 

 

【文責:ありさん】

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