b-labに「小説サークル」があるのは知っていますか?
普段はメンバーが好きなテーマで小説を書き、お互いにはげましあって
一つの作品を完成させたり、ときには賞に応募したりしています。
6月2日に開催されたサークル新歓まつりでは、
ほかの中高生にも小説を書く楽しさを体験してもらえるように「リレー小説」を実施しました。
小説サークルメンバーが舞台設定を考え、書き出しの1文目だけが書かれた未完成の小説。
そこにみんなが少しずつ書き足して物語が広がっていきます。
思いもよらない形で展開するストーリーにわくわく、どきどき。
このシリーズでは、そこで生まれた小説たちを紹介します。
ただ、この小説たちはまだ未完成…。
続きが気になったら、b-labに書きに来てくださいね。
第1弾は天才で毒舌な怪盗が遭遇した、不思議なお話です。
天才で毒舌な怪盗が美術館から絵画を盗むも、それが元から贋作であることがわかり…
『先日の事件』に関して、さっきからテレビがおかしなことを言っている。
セキュリティも万全な美術館から、絶対に盗まれるはずのない絵画が盗まれた。
犯人の正体は不明。
それだけのニュースのはずだった。
なぜなら、犯人は私で、あの日の仕事も完璧にこなしたのだから。
正体不明の犯人に大騒ぎするだけのニュース…。
それを想像していたのに、テレビの様子がおかしい。
『しかし、盗まれた絵画は贋作であり、実際の被害は大きくないということで…』
「へ?」
私は思わず間抜けな声を出した。そして、慌ててキッチンへと向かう。
キッチンの食洗器を開け、底板を外すと、そこには4桁のダイヤル。
それを『3150(最高)』に合わせると、後ろの棚でガチャっと音がした。
棚を開けると、そこには先日盗んだ絵画 ―例の絵画である― がある。
私はそれを取り出してまじまじと眺めた。
バカな、これが贋作なわけがない、私の目は確かなのだから…ハッ。
私は見つけてしまった。絵の右下、ほんとうによく見ないと分からないところに、何か書いてある。
『これはがんさくだよ~ん』
「…スーッ」
私は大きく息を吸った。落ち着け、私は完璧な怪盗なのだ。
いつだって完璧だった…のに、はじめて、それも完全にだまされた。
「どんな人間にも、失敗はあるものだよ」
ふいに、師匠の言葉を思い出した。
師匠。
格好よく、多くを語らず、でも完璧な怪盗だった。
そうだ、師匠、師匠だ。
私は台所を出ると、ベッド脇のコートを手にとる。
ついでに、師匠の唯一の著書も、そのポケットに入れた。
次の仕事が見つかった。
この失態を失態にせず、計画していた以上の出来にするための、最高の仕事だ。
目指すは、あの美術館。
このコートを羽織って、今度こそ本物を手に入れて見せる。
深夜、厳重に巡らされた非常線を交わし、私は遂に本物が眠る倉庫の前にたどりついた。
あんなふざけたメッセージを残すのは“あの狐目”しかいないだろう。
・・・
いま書かれているのはここまで。
“狐目”とはいったい誰なのか…。
怪盗は果たして本物の絵画を見つけられるのか…。
この物語の続きが気になったら、あなた自身の手で紡いでみませんか?
ちょっとだけ、1文だけでも大丈夫。
自由に物語をつくってみるのは、楽しいですよ!
気軽にスタッフに声をかけてみてね!
(文責:さかP)