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「好きを共に」に込めた思い
2026.09.13
フェス以前、写真と共に夏フェスを振り返るブログを投稿しました。
まだご覧になっていない方は、ぜひ…!
このブログでは、めちゃくちゃ今さらという感じではありますが、エンディングでは話し切れなかった夏フェスのテーマについて書いてみようと思います。かなり長いので、時間のある時にぜひご一読くださいませ!
今回の夏フェスのテーマ「好きを共に」。この言葉に込めた思いは、私が普段から大切にしているものです。簡単に言えば「他者を想って自分の好きなことを表現し、その想いを積極的に汲んで受け取る。その相互作用こそがエネルギーになる」といったところです。この相互作用は果たして何なのか、というところに踏み込んでいきたいと思います。
私が思うに、何かを好きでいるということは、自分という存在から脱却することであり、同時に自分を疑い、そして信じる過程でもあります。
現代は変化が激しいです。少し油断して無為に過ごせば、世の中の情勢どころか身の回りのトレンドにもついていけなくなります。今、マリトッツォを欲しがる人なんてほとんどいないし、マリトッツォが何なのかさえ忘れている人もいると思います。このようなトレンドの変化という程度ならまだしも、常識や価値観すら簡単に変わる現代では、それに乗り遅れると「時代遅れ」や「老害」とすら言われてしまうこともあります。常にアンテナを張って情報をアップデートし、世の中に適合できているか確認し続けなければなりません。さらに、10代は進路、大人はキャリアと、常に周囲を気にしながらも自分自身の選択を迫られる状況に追い込まれます。あらゆる場面で、自他への強い関心と「意味のある行動」を求められるのが今の時代です。
そのような時代において、世の中との接点や自分との対話をあえて持たず、自他の境界さえ曖昧になるような時間を持つことは、健全に日々を営むために必要なことなのではないでしょうか。それを叶えてくれるのが「好き」であると私は考えます。
何かを好きになることに、大した理由や意味はありません。歌、スポーツ、小説、アイドルなど対象は様々ですが、好きになる瞬間は突然で、気が付いたらハマっていたことや、理由は後付けであることの方が大半だとすら思います。それでも、好きなものと向き合っている時間は確かに存在し、自分の人生を彩っています。ギタリストが一弦をはじく瞬間、読書家が次の一文に期待を寄せる瞬間。その時、世の中の情勢や自分の行く末、それどころか「今、自分の内面が充実しているか」なんてことすら考えていないかもしれません。その瞬間こそが世界そのものであり、この自他境界の消失こそが「好き」の最大の効能だと考えています。
本来なら、この「好き」に何も気にせず向き合っていれば良いのですが、現代ではそうもいきません。周りを見渡せば現実に引き戻され、SNSで他人の充実した投稿を見ては「自分は何をしているんだろう」「こんなものに時間をかけて何になるんだ」と、自分の「好き」に不安になることもあります。ですが、そうした「意味」の枠組みから逸脱したところにこそ「好き」があり、その感性に正解も不正解もないことを忘れてはなりません。
とはいえ、孤独に自分だけを拠り所にし続けるのは寂しいものです。社会的な生き物である私たちにとって、共同体の中にいる感覚は不可欠であり、せめて自分の「好き」が受け入れられている実感が欲しいと願います。だからこそ、人は他者とのつながりを求めます。その過程では「自分なんかよりあの人の方が…」と自分を疑うこともあるでしょう。しかし、その「好き」で自分の心が動いたという事実は揺らぎません。であるならば、他者の心も動く可能性は十分にあるはずです。「分かり得ないという前提で分かろうとする。そこに愛がある。」とエッセイストの内田也哉子氏が語ったように、自分の「好き」が持つ魅力を信じ、それを受け止めてくれる他者を信じること。そこに「好き」を共有する価値があります。
今回のフェスの最後には、過去にステージに出た人たちにスタッフから声をかけ、これまで以上のステージにしようという取り組みをしました。「好き」が持つエネルギーはもちろん、自分の「好き」を追い求める過程そのものに大きな価値があると信じており、それこそが実にb-labらしいと感じたからです。普段は自分を表現しづらかったり、そういう場が無かったりする人でも、ここなら気兼ねなく自分を出せる。そんな場所としての価値を最大限引き上げたくて、夏フェスを担当していました。2日目最後のステージに立った5組のバンドは、自分と他者を信じて届けきることで、観客の心を大いに震わせてくれたと思っています。「私もあの場に立ちたい」という声や、エンディング後にスタッフとの企画に名乗りを上げてくれた中高生もいました。
今後、同じ形でステージを行うかは分かりません。ただ、私自身が少しエゴを出して「こういうフェスもあっていいのでは」と表現してみたことで、一定の手応えを得ることができました。何か別の形でできることがあれば今後もやっていきたいですし、「なんか面白そう」と思ってくれる人がいれば、ぜひ一緒に創っていきたいです。この連鎖がみんなの心を、b-labを、そして世界を豊かにすると信じています。
(文責:もろもろ)


