3月30日。b-labに春が舞った。
この話を始めるには、まず、1か月前に遡る必要がある。
2月27日(木)
文京区ではコロナウイルスの影響を受けて100人以上のイベントが原則中止になるなど、その影響は静かに、だけど確実に忍び寄っていた。
そんななか、中高生たちは「何とか形を変えてフェスが実現できないか」と、知恵を絞って会議をしていた。
会議もまとまり、少しだけ希望が見えた矢先、
事態急変を告げるyahooニュースが高校生の目に留まった。
”「え?学校休みになんの?マジ?」”
この日を境に、b-labの日常は180度、姿を変えることとなった。
翌日2月28日(金)には、施設の3月15日(日)までの休館が決まり、
急に、「普通に利用できる」という当たり前の日常に「残り2日」のカウントダウンが切られた。
今思えば当時は、動揺もあったものの、
ならば一旦、2日間を楽しもう、という気持ちが強かったかもしれない。
すぐに戻ってくるであろう日常への期待が、そこにはあった。
「最後の日常」は、少しだけ懐かしい顔ぶれが居た以外は、拍子抜けするくらいいつも通りの日常だった。
「また2週間後!」
中高生と交わされた約束は、結果として果たされることがなかった。
どんどん遠ざかる「日常」
いったい
何ができるのか。
今、中高生たちに
見せたい背中はなにか。
長く続く非常事態に湧き出てきたのは、
悲しみや諦めよりも、こんな時だからこそ「やってやる」という気持ちだった。
きつく縮められたスプリングが飛び出すように、
そのエネルギーはオンラインに場を移してほとばしった。
トライアルを経て、
3月16日から計14日の日数の間に
実施されたオンライン企画は、28回。
平均して毎日2回、スタッフや中高生の「やってみたい」が形になった。
コロナが与えた制約は、むしろスタッフや中高生の、「最初の一歩」を後押しした。
そしてついに、一度はなくなりかけた春が、b-labに訪れたのだ。
これまでの日常を振り返った高校3年生12名が、
10分間でこれまでの日々を、思いの丈を、語る。
うまくいかなさに腹を立てた日々も、
家族や友人と喧嘩してへこんだ日々も、
みんなで喜びを分かち合った日々も、
孤独に苦しんでいた日々も、
事前に信頼するスタッフと対話し、
想いを全て詰め込み、
卒業生が発した「ホンネの言葉」は、
対面で逢えない制約を飛び越えて、
画面の向こう側にいる人たちの目頭を熱くさせた。
見守ったのは、これまで関わってきた
スタッフ、ボランティア、先輩、後輩たち。
多くの予想に反して、70人ほどが北は宮城、南はオーストラリアから参加した。
オンラインは距離を超えて人を、想いを繋ぐ。
チャットで起きるガヤが、気持ちを届ける。
むしろ、オフラインでは創れなかった場が、そこにはあった。
たとえ何が起きようとも、
この中高生の秘密基地は、
中高生の「やってみたい」を本気で応援し続けます。
ビーラボに、春が舞う。
毎年必ず、春が舞う。
文責:白田好彦(3代目館長)